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2020-11-05

続:自己紹介。そもそもホテルの支配人って何してる人?

|そもそもホテルの支配人って何してる人?

昨日、自己紹介の記事でホテル業界について触れましたが、そもそも「ホテル支配人」ってなかなか具体的なイメージが持ちにくい職業だなと思いまして、私のホテル支配人の経験と一般的なホテル支配人の業務について書いてみたいと思います。

|ホテルの価値を高め、利益向上させる役割

ひと言でまとめろと言われれば私はこう回答致します。

ホテルって建物・設備などのハード面とホスピタリティと呼ばれる無形サービスの複合業種で、双方を併せて「価値」と定義付けていいと思います。

それに加えるとすると「歴史・伝統」でしょうか。

その価値を日々向上させつつ、利益向上に努める要がホテルの支配人になります。(ホテルによっては部門毎にマネージャーを支配人と呼ぶホテルもあるのでその場合、総支配人となります。)

|はっきり言ってめちゃくちゃ大変です。

はい。本当に大変な立場になります。

まず、価値を向上させるを具体的に分解していきますと、

・お客様の安全が担保されている事

・館内が常時清潔である事

・客室の痛み等、細かい点まで目が行き届いている事

・スタッフの教育がなされている事

・館内の室温・大浴場の温度が快適である事

・消防法・風営法・労働法などの各法令が遵守されている事

まだまだ沢山ありますが、こんな所で。お客様からすると「当たり前」な事なんですが、24時間365日稼働しているホテルで、上記を保ち続けながら、「価値を向上」させていかなくてはなりません。

館内、館内の備品など直ぐに痛みます。ロビーでお客様が新聞を読んでそのままの状態でしたら、直ぐにそこに気付き対処する等、実に泥臭く館内を巡回し続けます。当然、スタッフにもその様な教育を口を酸っぱく教育していきます。

常に快適で衛生な状態を保つのは本当に大変な事なんです。

|ホテルは安全でなくてはならない

これもお客様からしたら当然の事です。

ですが、ここをおざなりにする残念な現実が少なく無いです。

健康と一緒で当たり前にあるものと潜在的に思われてしまう部分です。

私が支配人を努めてさせて頂いてたホテルは県内最大規模のホテルでして、もし今、火事、地震、津波が起きたら?と常に緊張状態でした。

災害まで行かなくでもエレベーターが停止する。エスカレーターが停止するなどはどこのホテルでも起きる事で、常にそれに対しての対応が出来る様にマニュアル化し、避難訓練・救命講習などはは定期的に実施しておりました。

快適の前に最悪のシナリオも想定し、危機管理のスタッフ教育、意識付けを行うのも支配人の役割です。

夜中に地震、停電が起きてエレベーターが停止し、復旧作業にあたるなんていうのは結構ありました。

当然、それらも自ら行えなくてはなりません。

|支配人を呼べ!

これは少し話は逸れますが、こういった事で呼び出される事も多々あります。大概は各セクションのマネージャーで収まるのですが、こちらに明らかにお客様にご迷惑をお掛けした際には謝罪に向かいます。

中には、あまり言いたくはないですが明らかな「クレーマーさん」もいらっしゃいます。

そんな威圧的、常軌を逸したお客様に対しては従業員を守る為、お引き取り願う対応を取ります。

誤解を恐れずはっきりと言ってしまいますが、お客様よりも従業員の方が大切です。従業員が笑顔で働ける環境作りがお客様へのサービス向上に直結すると私は考えており、それがお客様への快適なサービスに繋がると思っております

私の経験上、何故か家に着いてひと息つこうかと思う時に対処しきれなくなったマネージャーから電話が掛かってきます笑

帰宅後の電話って大概、事件的な電話なんで、電話がなる事無いようにと毎日過ごしておりましたね。

ちなみにそういった理由からお酒は一切飲みません。

緊急時に車の運転が出来なくなってしまうので。

|明日は今日よりいいホテルに

その上で、1日1日ホテルの価値が高まる努力を行い、ホテルの価値や評判を高めて行かなくてはなりません。

「ローマは1日にしてならず」です。

そんな経験から色んなホテルに入った瞬間、そのホテルの空気感で、そのホテルがいいホテルかどうか?瞬間的にわかる様になりました。

|収益を向上させる

次に、収益の向上について。

これは各ホテルの立地や客室数に応じてとる戦略は大きく変わります。

例えば、コロナ前の東京都内のビジネスホテルでしたら、季節関係なく、稼働率は限りなく100%に近い数字だったと思います。(そうなる様に価格を変動させていきます。これをレベニューコントロールなんて呼びます。)

これが雪のある地方の温泉地ですと、雪降るエリアののシーズンは新緑時期〜紅葉シーズンまでで、雪のシーズンは余程スキー場近くとかの付加価値がないと基本的には閑散期となります。

そしてリゾートホテルは都心部のホテル・箱根・熱海などの有名観光地などを除き、週末稼働率100%、大型ホテルでしたら平日の稼働率は10%〜30%前後と一週間の稼働変動が大きい状態のホテルが多く、その辺りを踏まえ、

高稼働時の週末利益の最大化するのか?

平日の稼働を向上させて行くのか?

などと、ホテルの地域性や個性に応じて営業方針を判断し、実行します。

(結果が出やすい方から取り組み結局、両方やる事になります。)

私は過去少なくても10年間の全ての売り上げ、集客データを集計し、そのホテルの個性を分析してからその判断してました。

|収益向上には経費を削減した方が結果が出やすい

上記は、売り上げ向上についての話しでしたが、支配人に求められるのはあくまでも「収益(GOP)の向上」です。

集客に関してはネットインフラも整いきっている現在、売り上げの向上を目指すのは「きちんと過去の実績が整理されていれば」そんなに難しい事ではなくなってきています。

単純に広告費をじゃんじゃんかければ売り上げは作れます。

それよりも「収益」をきちんと出せるか?ここが本当に支配人の力量に掛かってきます。

年間使用する、人件費、食材費、仕入原価、重油(灯油)、電気、水道、消耗品、広告宣伝費などの変動費を如何に下げれるか?で収益が大きく結果が変わってきます。

・燃料系の設備不良を解消し燃調効率をあげる事での重油代の削減

・稼働の少ない日の部屋割りをフロア単位で稼働させ電気代を削減(過去にはLED化)

(これを実行・指示するには信頼のおけるスタッフと一定以上の知識が必要となって参ります。)

・週末や繁忙期の確実に高稼働が見込める稼働日の予約は手数料の掛かるじゃらん、楽天、旅行会社経由の予約(手数料7%〜15%取られるんですよね。)を受けずに自社のホームページ、直予約のみ予約で満室にする。

これだけで1日1,000万規模の宿泊売り上げでしたら手数料10%で100万円です。

確実に満室になる日が120日あるホテルですと100万円×120=12,000万円です。

涙ぐましい努力としては、

・露天風呂の蓋を半分する。

・トイレのタンクにペットボトルを入れておく。

・共有スペースの清掃にルンバを使い人件費を削減する笑(実話です)等々、

とにかくこの変動費のコントロールにその支配人の力量が問われます。

|ちなみに社内政治もちゃんとあります笑

これは大きな会社に勤められていらっしゃる方でしたら、どこもあるかと思いますが、ホテル業界というのは特に専門資格がなくても支配人になれてしまうせいか社内政治が結構あり、かなり重要です笑

私がいたグループは半沢直樹よろしく、本当にそんな世界でしたね。

後、ホテルコンサルタント会社に転職後、いろんなホテルオペレーターさんとお付き合いしていると「かなり」学閥社会だな〜と感じる場面が多くありました。

|結論:めちゃくちゃ大変でした。

私の場合、上司に事業部長がおりましたので、営業権を委任されているとはいえ支配人なんて言えば聞こえが良いのですが、社内の立場としては「次長」クラスです。

その裁量権で250名前後のスタッフと高稼働時1,200名を超えるホテル運営は本当に厳しかったです。

まだまだ、細かい仕事をあげればキリがないのですが、そんな仕事をしていたので、私は結局、身体を壊しながらもなんとか満期と言われる期間を満了しました。ちなみにそのホテルはそのグループの旗艦店で、コロコロ支配人が変わるホテルでして、私が最も長く努めた支配人となりました。(ジマンです)

最後は身体もメンタルもボロボロでした。

そんな中、幸いにも家庭にに恵まれ、家族との時間も大切にしたいというのも大きな理由になり、その後は当時の経験を活かし、ホテルコンサルタント会社に転職を致しました。

中々、ホテル支配人の業務って馴染みのない世界だと思い、ツラツラと書いてみましたが、もし、ホテル支配人を目指そうと思っていらっしゃる方がいらっしゃいましたらあんまり目指さない方がよい仕事だと思います。笑

少なくとも家庭との両立は難しく、繊細な方、ロングスリーパーの方はまず向かない職種だと思います。

そしてこれからコロナの世界的な影響により厳しい局面を迎えている状況ですので、ホテル需要の低下により「人余り」の状況が続くのではないでしょうか。

私は貴重な経験を積んだ期間となりましたが、同じ事をもう一回やれと言われても出来ない仕事です笑

不動産とは全く関係の無い、まとまりのない記事となってしまいましたが、ホテル支配人という立場の仕事がどんな仕事なのか?参考になれば幸いです!

それでは!

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